自己破産の質問〜3〜
自己破産に関する質問を弁護士が解説します。個別の事案に関するご質問は、無料相談をご利用ください。自己破産の質問1、質問2のページもあります。
1 不動産を所有している場合
2 自己破産すると銀行口座やキャッシュカードは使えなくなるか
3 自己破産と奨学金
4 ショッピング枠の現金化(換金行為)の破産法上の問題
5 借金はいつから支払わなくて良くなるか
6 自己破産をしたことが他人に知られるか
7 自己破産はどこの裁判所に申し立てるのか
8 自己破産によって年金受給権を失うか
自己破産をしても、自宅を手放さないということは可能ですか?
ご自宅の価値にもよりますが(所有形態、オーバーローンか等)、自己破産の場合は、一定規模以上の財産は、原則として、債権者へ配当するための原資(破産財団)に組入れられることになります。
ご自宅等、手放したくない財産があるという場合には、民事再生(個人再生)が可能か弁護士にご相談下さい。
自己破産をしても、銀行口座やキャッシュカードを利用することはできますか。
銀行口座やキャッシュカードの利用は可能なので、基本的には預け入れや引き出しのために利用することは可能です(ローン機能は使えません)。
ただし、その銀行のカードローンを利用していたり、銀行からの借入があると、債務整理を行うために弁護士が受任通知を送ると、口座が凍結されてしまいます。ここで注意が必要なのは、その口座を給与振込用に設定している場合です。口座が凍結されてしまうと、給与は振り込まれても、引き出すことができなくなってしまいます。そこで、このような場合は、できれば、給与振込口座をあらかじめカードローンなどを利用していない別の銀行にを変更するなど工夫が必要です。
自己破産すると奨学金の返済義務もなくなりますか?
高校や専門学校、大学時に奨学金制度を利用される方が増えているようです。就職した後に順調に返済を続けることができれば良いのですが、思ったような収入が得られなかったり、退職、失業などの事情から、返済が困難になり、他のクレジットやローンからも借入をするようになったというご相談はよくあります。借入が奨学金だけれあれば、毎月の返済額を減らしてもらったり、一時猶予してもらうなどの制度が利用できる可能性がありますが、借入先が他のクレジットやローンなど複数に及ぶと、自己破産や個人再生といった債務整理の手続を検討した方が良いかもしれません。奨学金はクレジットやローンと同様に、自己破産の申立てをして裁判所から免責決定を得られれば、返済義務が免除されます。
ただし、奨学金については、ご両親や叔父、伯母などが「連帯保証人」となっている場合が多いため、借り入れた本人が自己破産をすると、連帯保証人に請求が回ってしまうことになります。したがいまして、自己破産をする場合には、あらかじめ連帯保証人に事情を説明をしておく方が良いと思われます。借入先に奨学金がある方の破産は最近増加している印象があります。支払えずに延滞を続けるよりは、一度、弁護士などの専門家の相談を受けた方が良いと思います。
クレジットカードのキャッシング枠が使えず、ショッピング枠を使って換金行為を行ったのですが、破産手続上、問題がありますか。
ショッピング枠の現金化行為があると、免責不許可事由があるとされ、管財手続に付される可能性が高くなります。
ショッピング枠の現金化とは、クレジットカードのキャッシング枠がいっぱいになって貸付を受けられなくなったため、まだ利用できるショッピング枠を利用して商品を購入し、その商品を換金して、現金を得るという行為です。商品購入が目的なのではなく、現金を手に入れるための単なる手段として物販という形が取られるというもので、クレジットカード会社はこのような行為をカード規約で禁止しています。
破産手続上は、免責不許可事由があるという扱いになり、管財手続となる可能性が高くなります。ショッピング枠の現金化は、ほとんどの場合、既にキャッシング枠が限度いっぱいになっている場合に行われるので、例えショッピング枠の現金化で現金を手に入れることができたとしても、自転車操業状態に陥るだけです。裁量で免責され得るとしても、換金行為があるが故に管財手続になるのは得策ではありませんので、ショッピング枠の現金化に手を出してしまう前に、弁護士などに相談して、早目に債務整理の手続を取った方がよいでしょう。なお、最近はショッピング枠の現金化行為が複雑化して、利用者の側にもそれが後々問題となる換金行為だと認識し難いケースもあるように見受けられます。「ショッピング枠がまだ残っている」と行き詰まって考えてしまうような状況であれば、早目のご相談をお勧めします。
借金はいつから支払わなくて良くなりますか。
借金の返済を止めて頂くタイミングは弁護士の介入時となるのが通常です。
自己破産で免責の決定が出れば、法的な効果として支払い義務が免除されますが、実際の支払い自体は、弁護士と契約して弁護士が介入した時点でストップしてもらうのが普通です。自己破産すると決めて弁護士に依頼した以上、それ以降に支払いをするのは意味がないばかりか、「特定の業者は支払って、特定の業者は支払わない」などということが起これば偏波弁済の問題も出てきますので、弁護士介入時点で支払いはストップして頂きます。弁護士が介入して、貸金業者に受任通知を出すと、ご本人に対する督促は止まるので(クレジット会社や消費者金融会社といった貸金業者ではない、知人や勤務先、取引先からの督促は止まらない可能性があります)、貸金業者への支払いを停止しても、自宅や携帯などに督促の電話が来ることはなくなります。落ち着いた生活を取り戻すために、借金でお困りの方はお早目に弁護士にご相談下さい。
自己破産の申立てをしたことが、他人に知られることはありますか。
自己破産の申立てを裁判所に行うと、手続の開始決定や、免責許可決定のタイミングで「官報」に住所と名前が掲載され、一定期間はネット上でも見る事ができるます。金融業者は官報をチェックしているようですが、一般の人で官報をチェックしている人はさほど多くはないと思います。「誰か知り合いの名前が載っていないだろうか」と、関心を持って官報を見る一般の人がいる可能性はありますが、他人に知られるリスクを過剰に恐れて、借金の問題を先延ばしにするのは得策ではないように思います。
自己破産はどこの裁判所に申し立てるのですか。
自己破産の申立ては、個人の方であれば、住所地を管轄する裁判所に行うので、川崎にお住まいの方は横浜地方裁判所の川崎支部、横浜市港北区にお住まいの方は横浜地方裁判所の本庁になります。住民票と現住所が異なる方もいらっしゃいますが、その場合には現住所を管轄するを裁判所になります。
自己破産によって年金受給権を失いますか。
「公的」年金の受給権は法律上、差押が禁止されているため、破産法上は本来的な自由財産(管財人には処分できない)とされています。したがって、自己破産によっても将来の受給権が失われることはありません。逆に、「私的」年金(保険会社の商品などにある)は破産法上は財産と取り扱われます。
なお、退職金とよく似たイメージで捉えられている方もいらっしゃると思いますが、確定給付年金や確定拠出年金の受給権も差押禁止債権であるため、破産法上は公的年金と同様に自由財産となります(管財人に処分されません)。退職金の受給権については8分の1(ないしは4分の1)が破産法上、財産と扱われる(管理人の処分権が及ぶ)ことと取扱いが異なります(退職金については「退職金は破産法上、財産となるか」をご覧ください)。
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